台湾と中国では、クレームにおけるミーンズ・プラス・ファンクション(Means Plus Function (35 U.S.C. 112(f)、MPF)はどう解釈されていますか?


Source:広流知財情報
2016/06/03
 


台湾と中国では、クレームにおけるミーンズ・プラス・ファンクション(Means Plus Function (35 U.S.C. 112(f)、MPF)はどう解釈されていますか?

 

 

 

 

 


 
最近の米国判例であるWilliamson v. Citrix Online, LLC, 792 F. 3d 1339 (Fed. Cir. 2015)(en banc)に基づいて、米国の実務上では2つのステップによりMPF用語を解釈します。その2つのステップは、(a)クレームに記載された機能(function)を認定するステップ、及び(b)明細書がそのクレームに記載された機能に対応する充足な構造を開示しているかを判断するステップです。


その結果、現在のMPFに類似した用語の大半はMPFとして解釈され、不明確だと見られて35 U.S.C. 112(f)により拒絶される可能性が非常に高いと思われます。しかしながら、台湾と中国ではMPFの扱いは異なります。
 

台湾実務について:
 

専利法施行規則第19条第4項及び審査基準第2編第1章2.4.3に基づき、「~するような手段・装置(手段/裝置用以~)」又は「~するようなステップ(步驟用以~)」という特定な用語で記載され、かつ、充足な構造を開示していない要素のみ、MPFだとされます。したがって、対応米国出願に類似する用語を有する台湾出願のクレームの大半は、MPFとはされません。ただし、明細書におけるMPFと対応する構造についての記載は、専利法第26条に規定された記載要件を満たさなければなりません。
 

中国実務について:
 

中国にはMPFの定義はありません。MPFに最も近い定義は「クレームにおける機能的用語で定義された特徴」です。
2010年版の審査指南第2部分第2章3.2.1に基づき、クレームにおける機能的用語で定義された技術的特徴は、その機能を実現することができる全ての手段を容認するように解釈されるべきだとされています。機能的用語で定義された特徴を記載しているクレームについては、中国の知識産権局(State Intellectual Property Office、SIPO)はクレームの記載(機能)が明細書により支持されているかどうかを審査します。その機能は明細書に記載された実施例により実施できるが、当業者はその機能が明細書に記載されていない他の代替手段により実施できるように認識できない場合、又は当業者はその機能的用語に含まれる一又は複数の手段で、そのクレームに係る発明が解決しようとする技術的課題を解決して同様な効果を得ることができないと合理的な理由がある場合、SIPOは機能的用語で記載された要素が不明確であることにより出願を拒絶します。そのような状況の中、拒絶理由を克服するために、その機能を実施する対応の実施例によりその要素を補正することが考えられます。
 


(Image Source: Jonathan Assink | CC BY-ND 2.0)


 
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